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商社、法人営業、26歳、男性

私は、専門学校を卒業して初の社会人となりました。
特にこれと言ってやりたいこともなく、何かになりたいという願望もなく、とりあえず仕事をしないといけないという気持ちだけで、唯一希望があるとすれば給料面だけでした。
どうせ、働くなら給料を多くもらって周りの友人よりも良い洋服を着て良い車に乗って、などという気持ちで営業職を探して就職しました。
営業って聞くとスーツをビシッと着こなしてキラキラした様な印象を持っていたので、採用が決まった時は非常に嬉しかったのを覚えています。

 

今になって考えると、おかしな部分がある事に気付くのですが、まずは面接です。ブラック特有な面接だと今になって思います。
面接当日、私は面接時間10分前に到着し、会社へ入りました。会議室へ通して頂き、事務の方が筆記試験の用紙を配り、まずは筆記試験が始まりました。

基礎的な問題なのですが、忘れている事も多くて出来としては6割くらい正解な感じで、私自身としては落ちてしまったのではないかという思いでテンションはややダウンしました。

 

そんな中、筆記試験の解答用紙が回収されて、そのまま面接へと続きます。
面接ですが、社長と1対1の面接が開始されました。
なぜ、弊社を希望されたのですか?
人と話す事は得意ですか?

などと、よくある質問をされて答えるという面接でした。
30分程経ち面接が終わり、その後にこう言われました。

 

 

明日から来てくれ、と。

 

 

明日からは厳しいですが、来月からなら大丈夫です。と答えました。
この様に、晴れて社会人になった私ですが、これからが社会の厳しさを目の当たりにするのでした。

 

 

まずは、入社して初日、朝礼に圧倒されました。
軍隊のような朝礼です。企業方針や経営理念などを全社員で叫んで唱和します。その後は、ロープレを全社員の前でやったりとかなりの営業会社です。初日は色々な手続き等があり事務的な作業を行い終了しました。ここで、初めて社員の方々とご対面です。当時、23歳だった私は1番若くて、15人程いる社員の方々は30〜40歳でした。社長も39歳という年齢で役職の人も若い人が多かったです。
その日は、17時に退社させて頂きました。
次の日、会社に着くなり、とりあえず電話をかけてアポイントを取る練習をしようかという事で電話をかける練習を行い、実戦開始です。
扱っていた商材は、コピー機でした。
営業を全くやった事もなく、商品知識を学ぶ研修などもなく実戦開始です。頭の中はパニック状態で、非常に緊張してガチガチです。
営業とわかるとすぐに電話はお客様からは切られる始末でした。
自分の想像する営業マンとは全く違う形の私の営業マンとしての道がこのようにしてスタートしました。
ホワイトボードに、1人1人名前が書かれてアポイントを取れた件数が書かれて、0の社員は夜まで愚痴を言われ、1日0の場合はボロカスに言われます。机を蹴られながら怒られる事なんてのは日常茶飯事でした。
また、アポイントが取れない社員は夜中まで電話をさせられました。
コピー機というと法人相手ですが、夜20時を過ぎると電話が繋がらなくなります。そりゃそうです。一般的な企業は、もうこの時間になると残っている社員がいないのです。しかし、この会社はそれでもアポイントを取れと言うだけでした。受話器を取り番号を押して置く、この音が沈黙の中続きました。いつ帰れるのかな、と思うだけでした。最終的には夜の1時まで電話をしていました
完璧にテレフォンアポインターという役割で、アポイントを取ると上司がアポイント先に行き商談をしてくるというシステムでした。アポイントを取ろうが取らないだろうが事務所から出れる事はありません。監禁されている様な感じでした。
唯一、出れる時というのが自分のアポイントで成約になった案件の納品に行く時だけでした。これを楽しみに頑張っていたのを今でも覚えています。
しかし、慣れとは怖いものでずっとやっていくと慣れてくるものです。ただ、どうやっても慣れなかったのが商品やオリジナルプランというものが非常に悪質でひどい詐欺のようなものでした。これを知り、嫌になりました。
この様な日々が続き、徐々に朝の会社の扉を開ける時に具合が悪くなったりする様になってきました。歳が近い人もいなくて愚痴も言えない毎日にうんざりしていました。
1年経ったそんなある日、新入社員が10人入社してきました。私としては、非常に嬉しかったです。年齢の近い可愛い新入社員です。
会社も営業スタイルを変えていくという事で、飛び込み営業に営業スタイルを変更しました。
1年間電話と睨めっこしていた私が飛び込み営業へと進化しました。この時は、ただ外に出れるという事だけで嬉しかったです。
一台の車にギューギューに社員が乗り込み、ターゲットの場所に着いたらバラバラに回るというチーム営業でした。
チラシを渡して社長がいたら営業道具を置いて、上司にバトンタッチをするという怪しい営業でした。
要するに、押し売り的な奴です。基本的には、ボッタクリなので他の会社に見積りを取られたら負けるので即決してもらうしかないのです。
ただ、私は新入社員の存在が嬉しくて楽しかったです。しかし、社員は1年もすれば半分以上は離職という有り様でした。
売れるまで帰ってくるな、という事で夜中まで飛び込みをしていたこともよくありました。
新入社員を多く採用しては、1年で7〜8割は離職していくという日々が過ぎて行きました。
そんな私もこのままではいけないと感じました。
それは結婚をして、妻が妊娠をした事がきっかけでした。
子供が産まれて大きくなって、こんな事をしていて誇れるのか?そう考えて私は辞める事を決めました。

今は、転職して毎日18時で退社する生活を送っており、この会社に勤めていたことが嘘のようです。