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印刷業界、DTPオペレーター、退社2015年、30歳、女性

ブラック企業へ入ったきっかけ
22歳、新卒の私は希望していた経理事務の職種で内定をもらい、工場の経理担当として入社しました。大学に入学するときに田舎を離れ、そのまま大阪で一人暮らしをしながら会社との往復の生活を送っていました。

しかし初めての社会人生活は思っていたほどスムーズにはいかず、周りの友人は同期との飲み会や研修で楽しいというような内容の日記をSNSで見る度に同期のいないことのさみしさ、そして先輩社員との馬が合わず、周りの反対を押し切り、私は会社に退職届を提出し、半年で会社を去ることになりました。

 
何も考えずに辞めてしまったので転職活動を開始したのは退職届が受理された後です。
何のスキルもなく、半年で正社員を辞めてしまった自分に転職なんてできるだろうか?と思っていました。私は転職サイトに登録し、求人を探しました。

 

事務がよかったので事務を見ていたのですが、エージェントには事務の倍率はすごいからと難しいということを伝えられていました。検索しながら一つの求人が目にとまりました。『アフター5を充実させたい方へ。誰にでもできる簡単な入力・編集作業、オペレーター募集』これならできるのではないか?契約社員でしたが、もし契約更新されなくてもそれまでにまた就活したらいいんじゃないかな?と応募しました。
2日後くらいに応募書類を送ってくださいと連絡があり、履歴書を送りました。翌日に面接の連絡があり、私はすぐに面接に行きました。結果は合格。来月の頭から私はその印刷会社に入社することになりました。

 

 

ブラック企業へ
面接した時もびっくりしたのですが、入社した会社は地下2階でした。なんと携帯電話の電波も入らず、メールしたいときは1階まで上がって受信しないといけませんでした。空気がどよんでいるなと思ったのをよく覚えています。
入社して挨拶をしました。優しそうな先輩や上司がいて、いい会社に入社できてよかったとまだ自分はなにもわかっていませんでした。
係長の女の先輩が眠たそうにしていたので昨日遅かったのですか?と聞くと、『終電でしたー。帰れてよかったです。』というのでかなりびっくりしました。前の会社の決算前の繁忙期であっても21時退社が一番遅い時間帯でした。それがどうも係長だけでなく、他の先輩社員も同じ状況にあったようです。自分は契約社員だし、アフター5が充実って求人に書いてあったので私には無関係だと、その時はのんきなことを考えていました。
忙しい時期だったようで、入社1ヶ月くらい自分の仕事はなく、ずっとタイピングの練習とショートカットキーの練習を繰り返していました。

 

 

帰れない
入社して2ヶ月くらい経った頃、私にも簡単な仕事が割り振られるようになりました。本当に簡単な仕事で、印刷物にページの抜けや印刷の抜けやヨゴレがないかを本をめくりながら検品するという業務です。『これ今週末に発送だから、ここまでは今日中に検品終えます。』そう言われ山積みの印刷物を見て、到底今日中に終わる気がしない・・・と思いました。17時45分が定時で終了なのですが、毎日のようにそこから5時間の残業がありました。残業代が出ることだけが唯一の救いでした。

 

 

社長
このブラック企業の社長は二代目の息子でした。親は会長で数年前に亡くなりました。
社長は好きな社員(自分に屈服するイエスマン)だけを昇進させ、優秀、そうでない等は関係なく、嫌いと思う社員はクビにするというとんでもない人間性の持ち主でした。そして辞めさせられた社員は朝礼で悪口を言われます。食事は請求書を出して会社の経費で支払っているという話も経理の人から聞きました。

 

 

体を壊す
終電生活が約3年続きました。私は契約社員から正社員になりました。それでもずっと終電帰り生活が続いていて、それから2度程体を壊してしまいました。
それは残業続きの26歳くらいのときです。手が痛いなぁと思い、病院に行き、見てもらったのですが、特にどこも悪くはなく、痛み止めや湿布をもらいました。それでも治らず、会社もほとんど休ませてもらえなかったので毎週土曜日には整形外科や内科、神経外科や大きな病院を転々として検査をしてもらいましたが、特に異常が見当たらず。一ヶ月ほどその生活を何かわからないまま放置したらよくわからないうちに治りました。
その1年後、繁忙期に今度は扁桃腺が腫れてしまいました。休み時間に耳鼻科に行き、点滴を受けながら終電まで作業をするという生活を送り、とうとう慢性扁桃腺炎と診断されてしまいました。それもおそらくストレスからのもので、仕事が少し落ち着いた頃には少しずつ良くなっていきました。

 

 

赤字、リストラ
入社6年目の秋のことでした。何人かの社員が急に退職することになりました。それは銀行から経費削減を緊急に行わないと融資を止めるという通達があったからのようです。

普通は希望退職を募ると思うのですが、社長が嫌いな社員を名指しで辞めさせたようです。その中には自分の部署の後輩も入っていました。リストラをしたにもかかわらず、社長は経費で高級な料理を食べに行くことを止めませんでした。その後、自主退社する社員があとをたちませんでした。

 

 

倒産
この会社に8年勤めました。昨年会社は倒産になり、私は転職活動中の身です。よく8年もがんばったなと、自分を褒める一方で、働くことに必死になりすぎて周りの友人は結婚して、子育てをしていたりするので、その相手もいない自分は一体20代をどれだけ無駄にしていたのだろうという気持ちもあります。

もうこれほど残業のある会社には二度と入るまいと思います。ブラック企業が自分にもたらしたものは我慢強さの構築と、人望のない社長は会社を潰すということがよくわかりました。他の会社に勤めることになっても、年をとっても、この会社のことは一生忘れられません。