c22f4d5d94a38237dd06b56b137cddc7_s

 

「自分の条件にあわないところでも、もしかするとあうかもしれないじゃない」
「ここで仕事をしたら、どこでも仕事はできるわ」
「お金のためにがんばろうよ~」
「3年ここで働いたら、絶対に力になります」
などなど、これらは入社時に言われた言葉です。

 

 

この会社は金融関係、ネームバリューもあり、労災もある。
福利厚生はしっかりしています!お給料だって、頑張った分だけ出ます!
などと言っている会社ですが、入って2か月の研修は、ずっと机上の勉強ばかり。
それはそれで楽しいのですが、配属された部署にいくとなぜか半分の人の目が「さめた目」と「同情している眼」
あれ?なぜかな?と思ったので「ここは長く居続けることは無理だな」と感じたのは気のせいじゃありませんでした。

 

 

会社の規定では、土日休み、9時~17時30分、有給年間20日有、土日出勤した場合、振替休日申請ができ、子育て支援有。
仕事は、以前も人と接する仕事をしていたので楽しかったです。
ですが、問題は契約が取れなければ、人間じゃないと言わんばかりの会社の考えでした。
いつも目の前に「目標」「パーティー」などのものがあり、それに行くことが至福と言わんばかりの人たちを見ていると、土日も出勤して、振替休日も申請せず、ずっと仕事をしている人生はなんなんだろうと思うようになったのです。

 

 

この仕事をしていると、趣味というものも計画して旅行をすることも何もできないのです。
すべて仕事のため。仕事のためならお正月だって、お盆だってお客様のところということになります。
たくさんの資料を持ち、休みなく働く。
それでも仕事ができないというレッテルを貼られれば、プレッシャーがかかります。
そのことで病気になる人も多く、辞めていく人が多いのが実情です。

 

 

「この会社はいいところよ」という言葉。
この言葉は、毎日主任からの口癖のように聞かされます。
「だってこの会社はちゃんと保障があるんだから。病気になったときも安心よ」
まるで病気になることを前提にしているような言葉に、ぞっとすることもありました。
仕事を覚えるまで、1年。
同期は気が付けば半分になっていました。

 

 

これを乗り切ったら、というものはありませんでした。
毎日の反省会、お客様の対応評価、契約を取り、そのほかの事務などをしていたら毎日帰りは午後11時過ぎ。
これに対しても誰も文句を言わないのが恐ろしいです。
ブラック企業は、ある意味宗教に似ているのです。

 

 

土日も仕事をしているので20連続出勤などは当たり前です。
それを「仕事ができる私ってすごい!」に変換します。
コンピューターを持ってスタバなので仕事をしている自分に「ああ、なんてできる女」って思うのと同じです。
そして、目標のためにグループに分かれ働くのです。
チームのリーダーはやる気を出させるように仕向けるのが仕事。
毎日のミーティングで、今日は何の契約が取れるかなどを示唆しますが、今までの顧客に行く場合はそんなことができるわけがありません。
新しい新規顧客開拓は、よほどの運の良さです。
「大丈夫よ。絶対にできるわ」とリーダーは言いますが、顧客との信頼が生まれれば生まれるほど、それがおいそれとできなくなります。
顧客の方が豊富な資産を持っている人などはそういません。
そうなってくると、上司は新しい客をみつけてこいと言います。
当然と言えば当然ですが、そのために社員はそれこそ骨身を惜しんで仕事をします。
ある日などは、他県にまで言って、往復4時間以上の時間を使うのは当たり前。または、山奥の村にまで行くこともありました。

 

 

それで、目の前の目標額が達成されると渡される「お菓子」や「お食事会」
それをもらうと必ずこう言わなくてはいけません。
「リーダーや部長、周りの方のおかげでこんな素敵なものがいただけました」

 

 

心の中では「休みがほしい」と思いながら。

 

 

では、これほど仕事をしたのだから、お給料がいいでしょう、と言われても笑うしかありません。
1年目は固定でも2年目は、目標をクリアしない限り会社にいることができず、目標が達成してもその金額に合わせてお給料が決まってくるのです。

もし、ぎりぎりの場合でしたら、コンビニで働いている方が数段いいお給料です。
なぜなら、お休みがない、残業がない、そんな中でお給料も低いとあれば、ここに居続けることはないのです。

 

 

では、辞めるのはどう?と聞かれるとさすがに辞める人が多い会社はおいそれとは辞めさせてもらえません。
私の同期は、体が悪くなり辞めたいと散々上の方に掛け合いましたが、休職して元気になれば帰って来いと言われたそうです。

その後、友人に「なぜ、辞めたいと思ったの?」と聞くと
「だって、目標達成食事会の時、トップ成績だった先輩の目が異様に血走ってて怖かったし、休みがなさすぎて、自分でもカレンダーがわからなくなってたの。記憶もあいまいだし、こんな状態では仕事できないでしょ?」とのこと。
でもね、と友人はこういいました。
「人間ってどこかに所属してたら安心するから、みんな辞めないんだよ」と。

 

 

私が辞めるときは「お客さんはどうするんだ」と部長に言われましたが、「先輩たちが優秀だから安心です」と言うと黙られました。
会社側は、各営業に担当顧客を与えることで、辞職防止をしているようですが、自分の体も大切です。
人生が大切、と思ったときに何が必要なのかわかるのでしょう。

ブラック企業の魅力とは「所属することを与えている」ことと「宗教に近い会社への依存」であることである、これに尽きるのかもしれません。