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ずっと憧れだった雑貨やアンティーク家具の販売をする会社に就職が決まり、覚える事はたくさんありましたが希望していた職種だったこともあり楽しく充実した日々でした。
入社して半年程で先輩の退社と共に店を任せてもらえる事となり仕入れから販売、事務や経理まで全て1人でこなさなければならなくなりましたがその当時は充実と意欲で特に困ったり辛かったりということはありませんでした。

 
7時に出社し、清掃や準備をして8時に開店。
18時に閉店をし、掃除をしながらその日の売り上げや在庫管理などの作業。
そこから仕入れや従業員のシフトから給与計算などをするとあっという間に22時を回っていました。
さらに売り上げや急な売り場変更、家具の納品などがあると明日の営業に間に合わせなければならないため夜中まで作業をしなければなりませんでした。
そのうち売り上げの良し悪しの責任が全て個人である私に降りかかってくるようになり毎日毎日電話で追い詰められ自店の商品を自腹で買う事も日常の動作の1つにしかすぎず、全てを任されていた私は利益を出すために仕方なしに人件費を削って自分自身で補充するしかありませんでした。

 
売り上げをあげるためにインターネットでの販売も開始し、それもまた私1人でこなさなくてはならなかったため寝ずに働き家に帰れるのは週に2日もなかったと思います。
営業中は合間をみながらパソコンに向かい、商品の発送作業をしメールの確認や日報などに加えクレーム対応に追われる日々が長く続きました。
インターネットというのは相手の顔が互いに見えないためクレームになりやすく、長期化したり精神的に苦痛を従う事が多かったので寝ずに働くよりもインターネット販売でのお客様対応をしているのが本当に辛く苦しかったのを今でも思い出します。

 

店は3店舗あり、そのうちの1店舗を任されていましたが中小企業のワンマン社長という典型的な会社だったので常に社長の機嫌や思い付きで事業内容が変わってしまったり決まっていたものが消滅してしまうような環境で振り回されてしまうのも従業員をジワジワと苦しめていきました。
そのせいかどの店舗も責任者が1人で仕事をこなす、といった状況になり不足している分は休日に応援などで助け合い仕事をするという風潮だったのでほとんど休みもなく、職場とコンビニの往復だけで1日が終わる日が多かったように思います。

 

それだけ遅くまで働いてもその給与は手取りで18万もなかったと思います。
給与明細もなく手渡しで給与を貰っていましたが誰も何も言えなかったのではなく、もう何かを言う力が残っていなかったんです。
この過酷な状況は良くないと分かっていながら皆立ち上がるのですら面倒に感じてしまい、ただ毎日をやり過ごすだけでクタクタでした。
私の場合は手取りで14万~16万、男性の従業員で18万前後と記憶しています。

 

自分の住んでる部屋の家賃を払い、光熱費や必要な支払いを済ませて残ったお金はすべて商品の購入に消えていきました。
足りないものは私物を売ったりしながらお金をかき集めて売れ残った家具や雑貨を購入してお店だけではなく自分の財布ですら資金繰りに困っていました。
さすがの私も体調を崩してしまい、体の痛みに我慢出来ず立ち寄った病院で即日入院が必要との診断を受けました。
社長に伝えたところ店の開店時間が遅れた事を怒られ、入院は困るとの返答でした。

それ以上の言葉もなく話は終わってしまい、通常通りの日常を押し付けられたところでやっとこのままじゃいけないと気付きました。

 

退職は引き止められましたが決心が固いと分かると冷たく放り出されました。
捨てられた、といった表現のほうがしっくりくる出来事だったかもしれません。
幸いな事にすぐに仕事が見つかったのですぐに生活も立て直すことが出来、給与もあまり変わりなかったけれど貯金も出来るようになったり自分の時間を持つことで精神的にも落ち着いて年齢に見合う生活を過ごせるまで回復しました。
振り返ってみれば悔しい思いや煮え切らない自身の態度も反省として時々思い出しますが、こういった経験があるからこそ働けることに感謝したり当たり前の労働環境に心から満足して仕事に取り組めるのは負ではありません。
休憩時間があり、定められた労働時間、残業手当や決めった日数の休日。
休日には体を休めたり買い物に出かけたりプライベートの時間も出来たし仕事の事で夜に夢を見て飛び起きる事もない日々は贅沢に思えてしまいます。

 

退職してから10年経ちますがなかなか当時の癖が抜けず休憩時間やちょっとした空いた時間に戸惑いを感じたり仕事をしていても何もしていないような気になって罪悪感に支配されたりと色々な葛藤があります。仕事が終わってからの夜に慣れずにダブルワークをした事もあります。
大学を卒業して初めての就職先だったので仕事というのはこういうものなんだ、と思い込んでしまったのかもしれません。
引っ越しなどで何度かの転職をして現在に至っていますが、どの会社も私には有難く感謝の気持ちでいます。
ただ、これから大学を卒業して社会人になっていく若者を見るとどうか私のような暗黒な時代を過ごさないで欲しいと思います。
待遇や会社のルールやシステム、仕事のやり方、上司への不満など言い合いながら仕事するのはとても幸せな事です。