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私は今でこそ正社員として小さな会社ですが毎日忙しいながらも楽しい日々を送っています。そんな私もかつて派遣社員だった時期があり、その時派遣された会社が世間で言う「ブラック企業」だったのです。何故そんな所へ勤めたのか、勤めてからの日々、そして辞めた後に気づいた私の失ったモノについてお話します。
1、ブラック企業に勤めるまでの経緯
私は大学時代、就職活動をしていましたが成果が出せずに卒業し、しばらく無職の状態でした。卒業後もハローワークや大学の就職課の求人を見て、応募して、面接まで行くのですが中々決まりませんでした。ある日大学の恩師から「いたずらに時間が過ぎては意味が無い、派遣社員でもやってみてはどうか?」という提案をされました。私はその時就職できればそれでいいと思っていたので、早速とある派遣会社に登録しました。しばらくして派遣社員としてコールセンターの仕事があるとの連絡を受けました。元々人と話すのが好きだった私はとあるコンタクトセンターのお仕事を受けることにしました。
2、ブラック企業で失ったモノ「健康」
派遣されたコンタクトセンターで研修が始まり、オペレータールームで電話を取り始めたときに初めて気が付いた事です。基本は電話を取るためのパソコンの裏を見ると酷い埃の量でした。おそらくまともに掃除していないせいで溜まったのかと思われます。また、別の机で作業した時はカビのようなものやお菓子のカスのような物まである始末でした。これだけではなく、オペレータールームは空気の巡りがあまりよくなく、いつも淀んだ感じの状態でした。しかも一度オペレータールームに入るとしばらくは外に出られない雰囲気があったので、新鮮な空気やうがい等のリフレッシュすらできなかったのです。そしてこんな環境で仕事をしていたため、私はたびたび風邪、特に喉の炎症に悩まされていました。このコンタクトセンターには1年と2ヶ月勤めましたが、その間に病院の内科にかかった回数は8回です。余りにも多すぎる通院に経済的にも負担がかかりました。
3、ブラック企業で失ったモノ「時間」
初めはコンタクトセンターに勤めると「商品の知識や技術が身につきます」と派遣担当に言われた事もあってこの仕事を引き受けたのです。しかし、知識も技術も体感的には身につかないのです。なぜなら商品への知識や技術というのは実際に見て触ってからで無ければまったくイメージできないのです。勿論、コンタクトセンターには商品サンプルはいくつかありましたが最新の物しか置いていないため、過去に売っていた商品は全て当時の取り扱い説明書やパッケージ、カタログ等の紙媒体で見るしかありませんでした。そのため、実際にこのコンタクトセンターを辞めて別の会社に正社員で入ろうとしても、電話応対だけしかやっていた事しか評価されませんでした。なぜなら商品を見たことも触ったことも無いのでは何もやっていないのと同じように見られるからです。私もこのブラック企業を辞めた後に職業訓練をしましたが、こちらで学んだ事のほうがコールセンターでの経験よりも遥かに評価されていました。これならもっと早く職業訓練等の知識や技術を教えてくれるところへ行けば良かったと今でも悔やみます。しかし、どんなに悔やんでも私のブラック企業に勤めた1年2ヶ月の日々は戻らないのです。
4、ブラック企業で失ったモノ「プライベート」
このコンタクトセンターは繁忙期になると沢山の電話でのお問い合わせが増えます。そのため朝1時間早い出勤や残業、特に残業は1時間どころか2~3時間も要求された事があります。具体的には早出出勤のために朝7時に家を出て8時半からの勤務、残業のために家に帰り着く頃には21時を過ぎて22時前になっている日もありました。それが何日も続くため、肉体的な疲労も休み前にはかなり積もっており、趣味をやろうという気分すらならない日々が続きました。今の会社では繁忙期でも残業は1時間までというルールがあるため、健康面でも精神面でも無理のない私生活を送れています。何もする気が起きないというあの頃の私はきっと病人のような状態だったのです。
まとめ
こんなブラック企業に1年2ヶ月も勤める事になったのは、「会社に入ったらともかく3年はがんばれ、そうすれば報われる」という言葉を信じていたからです。しかし、ブラック企業ではどんなに働いても報われるどころか、使い捨てに終わるのです。先の述べた健康、時間、私生活の他にも失うモノは沢山ありました。今の会社に勤めてからこの話を一緒に働く同僚に愚痴ったことがありますが、誰からも「ひどい会社だ、労働基準監督署が来た日には一発アウトだよ」と言います。またコンタクトセンターでお客様とのやりとり自体で辛い気分になることはありませんでしたが、この派遣されたブラック企業とのやりとりでは何度も肉体的にも精神的にも追い詰められて、辛い気分になりました。重ね重ねの言葉となりますが、ブラック企業に勤めて失ったモノは取り戻す事すらもできなくなるのです。