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現在では、自宅から徒歩五分のコンビニエンスストアの夜勤で、穏やかに無理なく生活している私ですが、ひとつ前の職場は本当に大変で、例え給料が倍になったとしても二度と就きたくありません。

それは、工事現場や建設現場などへの人材派遣会社の仕事です。

この業界の人手不足は知っていましたが、求人情報サイトの「大量・高確率採用」という言葉にひかれ、つい応募してしまいました。
私はブランクが長く、面接でもその事をかなりたどたどしく説明してしまったのですが、「とにかく頑張っていこうよ」と言われ、午前中採用、その日の午後には早速とある建設現場に向かうことになりました。
展開の速さに驚きましたが、面接場所から電車で三十分ほどの場所で、作業も現場の方の指示で木材や、木版をいくつか運ぶだけで、二時間程度で仕事が終わってしまいました。どれほど短時間で仕事が終わっても、一作業につき、一律八千円ということでその日はかなり楽で稼げる仕事だと思いました。作業現場については前日か二日前に、メールで知らされるシステムで雇用主の派遣会社曰く「大抵一日に二現場、運が良ければ三件、交通費は全部出します」とのことでしたが、実際は大きく異なりました。
まず困ったのが、仕事内容の説明メールが仕事前日の二十四時前後に来ることでした。仕事に対しての質問は当然メールが届いてからするので、複数の質問があるときは大変でした。私以外にもたくさんの社員の対応をするので、新人の私は後回しにされ、深夜二時を回ることも珍しくありませんでした。
そして、実際の仕事内容は初日のような簡単なものはまずなく、十二時間以上ほぼ一つの現場で休みなく働くということも珍しくありませんでした。どれだけ長く拘束されようとも、給料は一律八千円です。

そして、後から知った話なのですが「共同保険料」という名目で一現場につき五百円が給料から引かれていたのです。それ自体は仕方のないことなのかもしれませんが、面接の際には全く説明がありませんでした。
電車で片道二時間以上かかるような遠方に派遣されることも多々ありました。「交通費が出るのなら」と我慢していましたが、一か月働いてみていただいた給料を見ると、想定していた金額よりも明らかに低かったのです。
不審に思い交通費以外の事でも気になっていた事を、会社に問い合わせたところ、第一声が「そんなに甘えられても困る」でした。一日二、三現場というのは二十四時間働き続けた場合の事で、確かに言われてみれば計算上はその通りですが、到底体が持ちません。そして、交通費は八千円の中に含まれている、とのことでした。

確かに面接のときに「交通費はちゃんと出す」と、今振り返れば、どのようにも受け取れる説明をされましたが、遠方の場合往復で二千円近くかかることもあり、とても大きな被害をこうむったような気がしました。共同保険料については「言わなくても、こういうシステムの存在は常識でわかると思っていた。文句を言われたのは初めてだ」と言われてしまいました。

そのほかにも、最初に説明されていた「遠方手当」や「皆勤手当」についても質問しましたが、はぐらかされてしまい、このときようやくこの会社はできる限り給料を払うつもりがないのだ、と気づきました。
すぐにやめてしまおうかとも思いましたが、職歴の少ない私がスムーズに次の仕事に就けると思えなかったので、それから半年ほどこの仕事を続けました。一人ではなく、複数人で現場に派遣されることも多く、そのときには先輩方に上記のようなことを聞いてみたのですが、ほとんどの方が仕方のないことと受け入れてしまっているようでした。この会社に限らずブラック企業がなくならない理由として、本当は間違ってることをあきらめてうけいれてしまう、ということがあると思います。
働き始めて四か月が経ったころから、会社からの要求もエスカレートしていき、家に帰る時間もほとんど取れずに三つや四つの現場を連続でこなすことも増えていきました。電車に乗っている時間はほとんど眠っていました。仕方のないことですが、派遣先の現場の人は、こちらが極度に疲れているとは思っていないので、私の精彩を欠きがちな仕事ぶりに不満を抱かれることも多かったです。
雇用主へ私を名指ししてクレームをつけられることも増え、そのたびにペナルティとして給料を減らされ、激務により腰痛など体全体が悲鳴をあげていたので、半年で仕事をやめてしまいました。
生活費のためには、休まずに次の仕事を探す必要がありました。そのときには、私の中で通勤時間が短いことが職場を選ぶ第一条件になっていたので、電車を使わずに通えるエリアに限定して就職活動を始めました。同じ過ちを犯すまいと、面接の際は気になったことは、事細かに納得のいくまで質問をするように心がけました。幸い複数の職場から内定をいただき、その中から、面接の際に一番丁寧に業務内容や、雇用条件を説明していただけた職場を選びました。今では残業もなく、週に二日は休むことができ、自分の時間をしっかりと確保できるようになりました。もっと早く転職の決断をすればよかったです。